葬儀について

← Q&Aトップへ  
← 戻る  
戒名のおこり

戒名のおこり

インドでは
「河水が流れ流れて大海に入れば、元の河の名の水だといわないように、インドには四つの社会階級があったが、ひとたび出家すれば釈氏と称した」といわれているように、インドでは、出家後はすべて釈氏とか沙門と称し、名前は在家のままでした。

中国では
中国仏教では、五戒・十戒・十六条戒というように、それぞれ仏の戒律を受けると、それまでの俗名をすてて、改めて<戒名>が授けられるようになりました。仏の戒を受け、仏法に帰依したという意味で<八法名>といわれるのも同じことであるが、これを日本では、特に授戒(じゅかい)の式を行わない真宗で多く用いるほかは、<戒名・法名>の区別はないといえましょう。

日本では
さて、一般に戒名は二字でつくられます。
日本では仏教渡来の初めから行われ、七二四年から七四八年まで在位した聖武天皇が「沙弥・勝満」と称したといわれているように、受戒し出家剃髪すれば、沙弥の位で、法名・戒名が授けられたのです。

こうして、生前、授戒会について戒法の授与をえた時は当然であるが、生前に戒名をえていないものでも、死後に戒法を授けてもらい、また引導作法の中で受戒して、戒名をうけるということがなされるようになりました。しかも、二字戒名の上に、宗派によっては道号の二字を加えて四字とし、また高貴の人には、院号・院殿号などのほか、軒号・庵号・斎号などが冠されるようになり、また末尾には、居士・大姉、禅定門・禅定尼、信士・信女、童子・童女、などの位号を附すようになったのです。

このように、本来の戒名はニ字であるが、仏教による葬式・法事が盛んになってきて、僧侶が葬法をつかさどるようになると、かなり儀礼がこみいったものとなったようです。そして、授戒したことを証するための、いわゆる<血脈>を授与することを葬法に加えたのは室町期に入ってからのことです。

人間の名前が、所詮は符牒にすぎないとはいえ、名は体を表わすものとされているし、特に仏道信仰の道に入って、人間の人格が変わったときには、それなりの名前が与えられるということには、十分に意義のあることです。ましてや、戒名をえて、日々の生活が仏子としてのそれにかなっているかどうか、自らを戒めることも大切なことであり、位牌の法名を読みあげることによって、亡き人を偲び、その徳を慕うこともまた、仏縁を深める道です。