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天狗と仏教
天狗と仏教

『民俗学辞典』には「鼻が高く、修剣道の山伏のような服装をし、羽団扇をもって山中を自由に飛行するという妖怪」と定義されています。天狗は中国では彗星か、もしくは流星をそのようによんだものとされています。『史記』には、「天狗は状大奔星のごとくにして声あり、その下りて地に止るや狗に類す。堕するところ、これを望むに及び、火光炎炎として天を衝くがごとし」とあるといいます。

それに対し、日本においては、「日本に古より伝えいう、魑魅に似たる者あり、身を隠して空を凌ぎ、奢を疾み満を害し、神力自在なる、これを天狗と名づくと。是れ何たる者ぞ。……我が教より之を見ば魔波旬の属なり。頻那夜迦、叱吉尼等も亦その類なり。あるいは天趣となし、あるいは鬼道に属す」(『寂照堂谷響集』)といわれています。

山は恐ろしいところです。今日では想像もできないようなうっそうとした山で、人は天狗笑い・天狗倒し・天狗つぶてなどと呼ばれる恐怖の事態にぶつかった。その山の怪異が天狗とされたのでしょう。仏教では、仏道修行をあやまって増上慢に陥ったものを天狗道に落ちたといったところから、それが山の怪異のイメージとかさなって、民間文芸的に修飾されていったものであるといいます。